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『野球小僧』編集部アンケート

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2010-01-26

コロンビア野球紀行 第10回

 『野球小僧』編集部ログでしか読むことの出来ない「流離いの海外野球放浪観戦者(?)」こと石原豊一さんによる海外野球紀行。人物像に迫った「ベースボールディアスポラ」は今後も続けて行く予定ですが、「イスラエル野球紀行」、「メキシコ・ウインターリーグ紀行」、「ニカラグア野球紀行」に続く海外紀行編もお届けしております。
 今度はどこの国かというと、南米コロンビア。昨年の冬に訪れた際のことですが、遅ればせながら紹介したいと思います。メジャーリーガーも輩出しているこの国の野球とはいったいどのようなものなのでしょうか? 今回は10回目をお届けします。

 それではどうぞ!

      

▼石原豊一さんの過去記事のリンクはコチラ
海外紀行編

 ①イスラエル野球紀行 →http://kozo.weblogs.jp/kozo/cat2140867/index.html
 ②メキシコ・ウインターリーグ紀行 →http://kozo.weblogs.jp/kozo/cat82358/index.html
 ③ニカラグア野球紀行 →http://kozo.weblogs.jp/kozo/cat4323204/index.html

独立リーグ編

 ⑥北信越BCリーグ観戦記(北信越BCリーグリンク内) →http://kozo.weblogs.jp/kozo/cat588962/index.html
 ⑦長崎セインツを救え(四国・九州アイランドリーグリンク内) →http://kozo.weblogs.jp/kozo/cat81718/index.html

ベースボールディアスポラ(野球離散民)を訪ねて(⑧前田勝宏編、⑨高橋建編)
 →http://kozo.weblogs.jp/kozo/cat5680355/index.html

   

▼レオーネスの共同オーナー・ガストン氏

 レオーネスの共同オーナーの一人であるガストン・ベロカル氏は球団ではゼネラル・マネージャーの肩書きをもつ。
 リガ・ベイスボル・コロンビアーノ・プロフェッシオナル(略式記号LBCP)は、元々、カリブ海沿岸の2大都市、バランキージャとカルタヘナを発祥の地として出発した。
 現在もこの2都市に本拠を置く球団、特に100万都市バランキージャに本拠を置くカイマネスは経営的にも圧倒的優位に立ち、このチームのユニフォームはスポンサーの広告で埋め尽くされている。

100126mr_gastonモンテリアの球団レオーネスの共同オーナーでGMのガストン・ベロカル氏

 大リーグでは禁止、日本では制限されているユニフォームの企業広告も、ラテンアメリカ球界では球団経営の健全性を示すバロメーターになっている。人気球団のユニフォームが広告だらけというのは、むしろ当たり前のことだ。
 おまけにコロンビアでは、チーム名も売りに出されており、球団名にはスポンサー名がつくことになっている。モンテリアの球団の正式名は「レオーネス=レコルダール・デ・モンテリア」と保険会社の名が冠せられている。その意味では、日本の球団名と同じ感じだ。

 しかし、このスポンサーもコロンビアでは探すのがなかなか難しい。
 今年も人気球団、カイマネスには国中にスーパーマーケット、ドラッグストアを展開している「オリンピカ」がついたが、田舎球団トロスにはスポンサーがつかず、観光地カルタヘナをフランチャイズとするティグレスのスポンサーはシーズン途中に撤退してしまった。
 このような状況の中、地方都市に本拠を置きながらも、レオーネスはネーミング・スポンサーを確保、確実に資金を調達しながら、MLBやドミニカとの提携でタレントの確保につとめている。2大球団、カイマネスとレオーネスを引き離してレギュラーシーズンを1位で通過したのはGMのガストン氏の功績が大きい。

    

▼ガストン氏の選手獲得の秘策?

 彼はまた、北米独立リーグへもスカウト網を広げている。
 オーガナイズドベースボールからあぶれた選手の集う独立リーグには、安価な「掘り出し物」的選手が多い。レオーネスのレギュラーのうち、実に4名はガストン氏が独立リーグから獲得した選手である。MLBのプロスペクトを擁するカイマネスや、AAAの選手2名を抱えるティグレスとは好対照だ。

100126baseballamerica_2Baseball America(写真)は様々な切り口によるデータ集を毎年刊行しているアメリカの『野球小僧』的存在の雑誌。日本でも洋書を取り扱っている書店で手に入れることができる

 とは言っても、彼はアメリカに足を運んでいるわけではない。そんな資金の余裕はここにはない。
 彼は私に一冊の本を見せた。アメリカの野球誌「Baseball America」の記録集だ。この出版社のオーナー、マイルズ・ウォルフ氏は、1990年代に勃興した独立リーグの仕掛人で、現在も自ら独立リーグ「アメリカン・アソシエーション」を率いている。
 数年前、『野球小僧』誌の編集部でもその情報量の多さに敬意を表して、北米の編集部に直接赴いて取材したことがあるそうだが、この本には全独立リーグの選手の成績が載っている。ガストン氏はこれにくまなく目を通して選手のめぼしをつけ、各球団に連絡をとって選手をスカウトしているのだそうだ。
 それだけ聞くと、なんだか博打のようなスカウト方法だとも思えるが、彼のデータの分析力はかなりのものらしく、この方法で彼は、独立リーグ最強と言われているノーザンリーグに所属し独立リーグベスト捕手にも選ばれたベネズエラ人のルイス・アレンと、彼が自ら獲得した中で最高の選手と自賛するブレント・メテニーを獲得。彼らをチームの柱とし、それより格の落ちるゴールデンリーグからドミニカ人のホルヘ・メヒアやヘンリー・カルデロン、キューバ人のマイケル・ホバを安価で呼び寄せ、脇を固めた。
 選手に支払う報酬額は月給で1500~3000ドル。限られた資金を効果的に使い、彼はチームを優勝に導き、選手を上級リーグに送り出している。「マイナーリーグ」のGMとして、育成と強化という2つの命題を見事に両立させていると言えるだろう。

 育成の面において、今年の彼の一番の成功は投手のジェシー・イングリッシュだ。
 独立リーグの強豪・アトランティックリーグから獲得した右腕は、この冬のコロンビアでの活躍でスカウトの目にとまり、見事サンフランシスコ・ジャイアンツとのメジャー契約を勝ち取って帰国していった。
 ちなみに数年前は独立リーグから何人かの日本人選手も獲得していたそうだ。

 彼は自分が獲得した選手たちを「My players」という。その言葉には選手、チーム、そして野球に対する愛情があふれている。
 この球団が観客からとる木戸銭は一般席で4000ペソ(190円)、最高のVIP席で10000ペソ(470円)。実際のところ球団経営は楽なものではないだろう。利益を考えるならプロ野球のオーナーなどできるものではない。
 彼を支えているのは野球への情熱以外の何物でもない。
 赤字覚悟でチームをきりもみするオーナーに、海を渡って凸凹のグラウンドでのプレーをするマイナーリーガー、彼らを動かすのはすべて野球に対する愛情である。
 彼らのような「野球バカ」がこの最果ての地でのプロ野球を支えている。

     

<つづく>

         

■石原豊一(いしはら・とよかず)
1970年生まれ、大阪府出身。圧倒的な行動力で、これまでアジア、アメリカ、中南米、ヨーロッパなどを渡り歩く「流浪の野球好き」。すでに世界各国200を超える球場で野球を観戦している。09年末にプエルトリコ、ドミニカのウィンターリーグを観戦。2010年3月10日発売『野球小僧』4月号2010年3月20日発売『野球小僧世界野球選手名鑑』にて、そのとき得た情報を記事に生かす予定。

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