女性東都ウオッチャー・山田沙希子の 戦国東都 いぶし銀観戦記(第34回)
みなさんこんにちは。
もうすでに5月、大学野球界もリーグ戦の真っ最中です。
今回は東都の二部とはいえ、一部の選手にも劣らない打力を持ったあの選手を紹介します。
あ
東京農業大学の陽川尚将(ようかわ・なおまさ)。強打が光る右の大砲とうたわれる陽川は、金光大阪高校3年生時に読売巨人軍から育成枠で指名を受けた経歴を持つ選手だ。しかし、彼が選んだのは東都2部に所属する、東京農業大学への進学だった。
当然、彼を見る周囲の目は他の選手よりも少し厳しくなることだろう。私も陽川がどのような活躍を見せてくれるのか、また1年目から彼のプレーを見られるのかと楽しみにしていた。
公式戦デビューは入学直後の開幕カード、第3戦目に訪れた。6番、指名打者でのスタメン出場。東農大と言えば、強打のチーム。当時も3年生ながらパンチ力が際立つ樺澤健(現トヨタ自動車)が4番を務めるなど、バッティング力に優れる選手が名を連ねていた。
そんな中にあって、早くもチャンスを手に入れた陽川。しかしこの試合では2打数ノーヒット。途中でベンチへと退いた。
だが次の試合で再び、代打で出場機会を得る。
それはランナーを一塁に置いた場面だったのだが、一球強振してみせると、次は一転してバントの構え。見事に打球を転がして犠打を成功させた。
2打席目には打った瞬間それと分かるほどのホームラン。レフトへと突き刺さるような当たりだった。
い
大学初安打が初本塁打――大物の片鱗としては十分すぎるほどのインパクトだった。
この試合以降、全試合でスタメン出場を果たした陽川。結局このシーズンで3本塁打を放つなど、大学最初のシーズンとしては上々の出来だったとはいえる。一方で、無安打の試合も多く、途中交代を命じられることもあった。
翌シーズンは、3番セカンドが彼の定位置となった。
前季の経験も生かせたのだろう。全14試合にフル出場し、リーグ3位タイの打率.333、ホームラン5本は2部で一番多い数字だ。
特にチャンスでの一打が目立ち、ここぞの一本が光った試合がいくつもあった。
う
●2年目のジンクス
しかし、2年目のシーズンは少し苦しいものになった。
序盤こそ毎試合連続でヒットを放っていたが、何か物足りないものを感じていた。
得点の好機に陽川が打席に入れば、もう1点はもらったもの。
それほどの思いになれた昨秋から一転、今度こそ打てるかな…などと考えることが多くなった。
また、1年秋は無失策だったのだが、この年の春は3つのエラーを犯した。バッティングと守りは通じるものがあるのだろうか。
打つ方に関して言えば、相手ピッチャーも陽川を要警戒選手として厳しくマークしてきたはずだし、それが原因の一つでもあると思う。
だが陽川には、それに負けることのない存在であってほしいと願ってやまない。それほどの選手だと思うし、そういう姿を見てきたから余計にそう思ってしまうのだった。
え
そして今春――。それまで4番を担っていた樺澤が卒業し、陽川は4番サードを任されるようになった。
結果的に立正大との開幕カードは、東農大が2連勝で幸先良く勝ち点を挙げた。
陽川はこの2試合で4安打4打点と4番としての役目をさっそく果たしている。見ている者が思わず声をもらしてしまうような豪快なアーチも一本放った。
シーズンはまだまだ始まったばかりだが、昨秋に味わった最下位の悔しさをこの春に生かしてほしい。
そして昨年3部優勝校との入れ替え戦で立った神宮の舞台に、今年は2部優勝チームの4番として立ってほしい。
お
(こちらは4月中旬に書かれました。更新が遅くなり申し訳ありません)
※この連載は1カ月に1度のペースの更新に変更いたします。今後の展開にご期待下さい。
●東都大学野球連盟公式サイト
→http://www.tohto-bbl.com/
■山田沙希子(やまだ・さきこ)
1988年生まれ、東京都出身。東都大学リーグを主戦場とする女子大生ライターとして活躍した。亜細亜大・岩本貴裕(広島)を徹底マークし、岩本と強打コンビを組んでいた中田亮二(中日)もくまなくチェック。今秋のドラフトで重複指名されるだろう東浜巨(亜細亜大)の大学時代は誰よりも見ている。踏まれてもすぐに立ち上がるド根性が売り。『甲子園のキセキ』(日刊スポーツ出版社/矢崎良一
監修)の執筆陣に抜擢された。現在、年中仕事募集中。

































2月に入り、プロ野球もキャンプインしましたね! もう球春到来と言ってもいいでしょうか。しかし東都の開幕はまだもうちょっと先ですね…。あとしばしの我慢です!
身長165センチと体格には恵まれていない木野だが、ボーイズ・八尾フレンド、PL学園高校、そして青山学院大学と名門チームでレギュラーを張ってきた。派手さはないが、決して非力なイメージはない
國學院大を卒業する渡邉貴美男(JX-ENEOS)に代わる東都の元気者として、今季の木野に期待したい
1年の頃からリーグ戦に出場していた清水だが、その後は試合に出られない時期もあった
打撃を活かして、DHや外野で出場した経験もある
最終学年となる今年は、チームの牽引車として期待したい
國學院大を初のリーグ優勝に導く大きな原動力となった渡邉貴美男(文星芸大付)。キミオの愛称で親しまれる彼は、大きな声が最大の持ち味であり、魅力でもある。今では改めて説明する必要もないほど浸透しているのではないか。渡邉自身、野球を始めた頃からそれを意識しているのだが、声を出すという行動そのものを意識しているのではなく、声の持つ重要性を理解して常に頭に入れているように感じてならない。
主将として秋季東都大学リーグの優勝旗を受け取る渡邉貴美男。4年生になって声の出し方も変化した
明治神宮大会で敗れ応援団に挨拶。大学野球生活は終了した。今シーズンからはJX-ENEOSで社会人の星を目指す(左から4人目が渡邉貴美男)
田渕雄飛(國學院大)
今春の東都リーグまでは、俊足をいかした代走など、控えだった田渕
今秋の東洋大戦からスタメンに名を連ねるようになると、そのまま出場しつづけ首位打者を獲得。創部以来初となるリーグ優勝の原動力となった
財満征史(東京農業大)
今季、見違えるような打撃を見せるようになった財満
大学初ホームランを放ち、チームメイトに迎えられる財満。これまでは明るく振舞うことが多かったが、今季は抑え気味。ラストシーズンにかける意気込みが伝わってくる
津田勇志(国士舘大)
秋のリーグ戦初戦となる東洋大戦に2番・サードで先発した津田
初戦以降、スタメンから外れているが、またあの独特の声かけを聞きた
▼そろそろ東都の秋が近づきつつあります
亜細亜大のノック開始前。全員で大きな声を上げてからグラウンドに散っていく独特の風景だ
下級生時代は代打やDHが多かったブルーノだが、この春は4番キャッチャーでの出場が多かった
大きな声と笑顔でチームを盛り上げる。この秋は悲願の優勝なるか?
佐藤健太(立正大)
國學院大戦では、相手ショートの渡邉貴美男に呼応するかのようにいつもより声を出していた佐藤
青山学院大との入替戦に敗れ、しばらくその場から動けなくなった佐藤
南や上地に抱えられるように引き上げる佐藤。気持ちを切り替え、秋は二部での活躍に期待したい
岡良祐(東洋大)
イニング間の投球練習を受け、正捕手の佐藤貴穂(右)にボールを託す岡(左)
今季リーグ戦で東洋大が優勝した歓喜の瞬間。岡のようなバックアップに回る選手にとっては、一番の喜びとなる
東都開幕! 球春到来です
1年春からリーグ戦に出場する井上は、着実に成績を重ねていった
2部リーグ首位打者として表彰される井上
現在、2部に低迷中の日本大。1部復帰を目指して、今後井上にはチームを引っ張る役割も期待される
東都開幕! 球春到来です
顔色ひとつ変えることなく打球を処理する。堅実な守備が澤田の武器だ
澤田(右)と二遊間を組むショートの渡邉貴美男(左)は東都一の元気を誇る。一時期はショート・澤田、セカン・渡邉というときもあった。いずれにせよ、好対照のキーストーンコンビだ
9番を打つことが多い打撃は課題も多い。俊足を生かして、下位打線が作ったチャンスを広げていきたい
2010年開幕間近の東都です!
09年の東都2部リーグでエースとして東農大を支えた吉原
優勝の望みがまだある中で迎えた拓殖大戦に挑む吉原-田中のバッテリー
逆転サヨナラ弾を食らった直後。吉原は座り込んだまま呆然としてしまい、しばらくの間、立ち上がれなかった
1年での開幕戦でいきなり大学初登板を果たした畠山だったが、その後は2部落ちするまで登板機会に恵まれなかった
2部で優勝して臨んだ日本大との入替戦。畠山は3点リードした8回に登板したものの、ストライクが入らず。早々にマウンドを降りる
昨春の東都リーグ戦。最下位回避を決めた翌日。畠山は大学初先発の機会を得たが…
スリークオーターとサイドの中間あたりから、地面を一度かすめるかのように伸び上がってくる速球が魅力の埜口卓哉。今年の活躍いかんではドラフト候補になる可能性が十分ある
173センチ(公称?)の畠山と184センチの埜口がこの身長差で肩を組む
長崎日大高のエースだった浦口だったが、日本大入学直後は野手に転向。2年になって投手に返り咲いた
2009年秋の東都大学野球2部リーグ戦では、投手としても野手としても出場ゼロだった浦口。今シーズンはぜひ元気な姿を見たい
1年春のリーグ戦で早くもデビューを果たし、國學院大の中心選手として前途が期待された神谷選手だったが、その後は思ったように結果が残せず苦労する
神谷がリーグ戦で常時スタメン出場するようになったのは、2部落ちなど様々な経験を得たあと。大学最後の4年秋のシーズンだった
殊勲打を放ち、二塁上で拳を握る神谷選手。4年生の意地は、翌年以降、その姿を目に焼き付けた下級生たちに引き継がれる
今年春、秋とも安定した成績を挙げた岩澤。体の線は細いが、マウンドでは頼りになる大黒柱となった
相手を封じてマウンドからベンチに向かう岩澤投手。ひと息つきたくなる場面だが、決して表情は変わらない
中日の「アライバ」並みのプレーを見せたセカンド・中村優太選手(写真右)とショート・大沢達馬(左)
脅威の連投マシーン 十亀剣(日本大)
左足を上げた後、一気に脱力して重心を落とす十亀のモーションは、プロ投手でいえば鈴木義広(中日)に近い印象だ
神宮第二球場に試合の場が移っても、十亀は連日のように投げ続けている。大学最後のシーズンに入替戦に進めるか注目したい
修徳高時代から主軸を打ち、打撃センスには定評のあった長島一成(青山学院大)
守備位置は「ナガシマ」の響きがもっとも様になるサードがメイン。状況に応じてファーストに回ることもある
大学進学後は正直伸び悩んだ。最後のシーズンとなる秋。結果を残して次のステージにつなげたい
1年秋以降は勝ちに恵まれず、調子も不安定となり、苦しい投球が続いた
イニングを締めて、思わずガッツポーズでマウンドを降りる村松。今秋に完全復活を目指す
この春は主に攻撃の起点として1番、3番などを打った神野
打球が顔面に当たるという不運もあり、守備面で不安が出てしまった。秋のリーグ戦までには克服してほしい
マスクを渡す赤嶺。相手キャッチャーもこれに笑顔でこたえる
当初は足を上げていた赤嶺だが(写真左)、2008年秋(3年)の入替戦ではノーステップ打法(写真右)に変わっていた
正念場の1部2部入替え戦 変則左腕が見た天国と地獄 小石博孝(立正大)
セットポジションからボールを持った腕を小さくたたむ。小石独特の投球フォーム
神宮の杜に轟く雄叫びを聞け! そして華麗なプレーに唸れ! 渡邉貴美男(國學院大)
決してあきらめることのない球際の強さ、捕球後の素早い動作と正確な送球が渡邉の最大の魅力
チーム事情で3番に入ることが多い打撃は、とにかくしぶとい。元来はノーアウトで走者が出ればキッチリバントを決める「2番打者」タイプ
2部リーグで優勝を決めた専修大のエース・湯本五十六。きたる立正大との入替戦でも大車輪の登板が期待される






![: 野球小僧remix プロ野球[外国人選手]大事典 (白夜ムック)](http://ecx.images-amazon.com/images/I/51gYLFnHP9L._SL75_.jpg)


